桃山時代の華やかな装飾美が息づく京七宝 – 京ものストア
桃山時代の華やかな装飾美が息づく京七宝
2019.07.22

京都の伝統工芸としての歩み

七宝は銀、銅等の金属の上に、ガラス質の釉薬を750℃前後の温度で焼き付けて作る金属工芸品です。その技法により様々な種類の七宝があり、制作する為には高度な熟練した職人の技術が必要です。

京七宝は安土、桃山時時代(1573~1603年頃)の華やかな文化の中で京都の優れた金工の技術を背景に、宮殿や城、神社仏閣を飾る装飾品として華開きました。

また明治時代には天才七宝家、並河靖之が京都三条に工房を開き、パリ万博にも出展されて、その繊細で完成された作品は世界を驚かし、七宝を美術工芸品にまで高められました。

その後も職人のたゆまぬ技術の改良と工夫を加えながら、時代の変化を超えて開発と伝承を両輪として制作されてきた京七宝を受け継ぐのがヒロミアートです。

熟練の技が生む七宝

金属の素地にガラスの釉薬を焼きつけて装飾した七宝。素地の表面に帯状の金属線を糊付けして図案を区切り焼付け、その枠の中に釉薬を施し、さらに焼きつけます。

日本で最も古い七宝は、古墳から出土した飾り金具に施されていたといいます。

京七宝は、安土桃山時代に華やかな琳派の影響を強く受けた京都の金属工芸の職人が、神社仏閣や御殿の装飾品に七宝を施し栄えてきました。時代の変遷の中では盛衰もあり、今日ではアクセサリーやインテリアとして女性のハートをつかんでいるのがヒロミアートの作品です。

七宝アクセサリーの製作工程

デザイン画
部材や色彩を描き込んだデザイン画を作成。
生地造り
デザイン画に基づいて、銀板にパーツを配置して装飾していきます。
施釉
様々な色の釉薬を模様の中に筆で置いていきます。

この後、焼成と施釉を繰り返して満足のいく色に仕上げ、表面を美しく整えた後、必要に応じて加飾を加え、さらに炉に入れて焼き上げ、金具などをつけて仕上げます。

銀七宝ペンダント
満開の桜を華麗な色彩で純銀に焼き上げた、美しい銀七宝ペンダントです。

七宝花瓶の製作工程

銀線付け
ベースの型に無色透明の釉薬・白透(しろすけ)をのせ、裏と表に下焼きを施した後、上から1〜3mmの幅の平銀線を使って模様を描き、糊で仮付けします。そして約750℃の炉に入れ線を焼き付ける。
施釉
様々な色の釉薬を模様の中に筆又はホセで置いていきます。
焼成
約750℃の炉で釉薬が溶けるまで焼き、施釉と焼成を繰り返して、満足のいく色を焼き付けます。
その後、グラインダー又は手で砥石を使い表面を美しく整え、炉に入れ焼ツヤを出します。必要に応じて加工された線や銀の薄板、箔、銀液、金液などで加飾を加え、さらに炉に入れて焼き上げ、金具などをつけて仕上げます。

コラボに発揮された工芸の技

ヒロミアートでは、独自のデザイン作品以外にも現代の多彩なアーティストとのコラボにも積極的に取り組んでいます。七宝の魅力をより多くの人に知ってもらおうと、異分野の画家、イラストレーターなどの作品を元に立体的な七宝製品に仕上げます。これらの展示会ではアーティストも参加して、アートと工芸が融合した新しい世界のプレゼンテーションに注目が集まりました。

壁画で知られる絵師・木村英輝氏が青蓮院門跡(粟田口)に描いた襖絵(上)をモチーフにしたアクセサリー(下)。

同じく木村氏が祇をん 山がた(祇園)に描いた襖絵(上)をモチーフにしたブローチ(下)。これらは京都伝統工芸協議会の企画展のために製作したもの。

アーティスト・イラストレーターSANAの作品(左)をモチーフにしたブローチ(右)。アミューズミュージアム(東京・浅草)のプロデュース展のために製作したもの。

生活を彩る京七宝

平安貴族の色彩を基調とし、現代的にデザインされた京七宝から生まれた文具があります。小物を入れるトレーとしても使えるペン皿は、伝統技法の銀張七宝(銅に銀箔を張り七宝釉薬を施す)と無線七宝(銀リボン線不使用)を用いて、銀箔の控えめな光沢と水彩画のような柔らかな色彩が特徴です。

七宝ペン皿「しだれ桜」

京七宝 ヒロミ・アート

京都市西京区嵐山朝月町20-8

TEL : 075-634-3679

FAX : 075-863-2478

http://hiromi-art.jp/